2004年8月号

「京都・祗園祭、体験記」


皆さんご存知、京都の祗園祭です。今年も7月14日〜16日に宵山、17日に山鉾巡行が行われました。見に行った事ありますか?今回のコラムはこの祗園祭について話してみたいと思います。

でも見に行ったことをここで紹介してもあまりおもしろくないですよね。そう、ただ見に行っただけではないのです。
・・・祗園祭に参加しました!



宵山。浴衣美人?はええのぅ。(笑)

んー、提灯?

河原町通り。人がいっぱい。

時は今から15年程前、僕が京都の大学に在籍中のことです。祗園祭では32基の山・鉾が巡行するのですが、一基あたり大勢の人が引っ張るでしょう?あの人たちってどこからやってくるのでしょう?
そう、あれは京都の大学生たちをバイトで雇っているのです。細かくは知りませんが、その当時一基につき一つの大学からバイトを集めていました。

そこで僕もせっかく京都の大学に在籍しているのだから「ここはいっぺんやってみようやないかい!ええ思い出になるわな!」ということでバイトに申し込んだのでした。

回りにビルが立ち並ぶ、御池通りを通る。

先頭は有名な「長刀鉾」(なぎなたぼこ)

稚児

早朝、僕の引っ張る「北観音山」という山のある地区に集まります。(場所はここ。山鉾案内図) ハッピ、足袋などを着せられ、笠をかぶる「・・・オレら、足軽みたい。」 そうですよねー、普段こんなカッコしたことなんか無い。このカッコして山鉾巡行に加わるの???観光客が山ほど見てる前で???・・・ちょっと恥ずかしさもあったりしてね。(笑)

北観音山

ここ!ここにいたのです。

ちょっと感じたことなのですが・・・山鉾に乗ってる人らってなんか僕らに対して偉そうなんです。そりゃこんな日本を代表する素晴らしい文化を継承する任務に就いているわけですから偉そうなのは仕方が無い。所詮僕らはバイトでしかないのだから。

山鉾巡行の中に「辻回し」という一大イベントがあるわけですよ。この山鉾にはコーナーを曲がる機能なんてついてるわけもなく、全て人力でコーナーを曲がります。交差点にさしかかると車輪の下に竹を敷き、水を撒いて綱を横に引っ張ることで90度回転させるわけですね。その交差点にはすごく大勢の観光客がその辻回しを見ようと詰め掛けてるわけです。

「おまえら力入れて綱引けよ!」 ・・・はいはい、わかっとるがな。おまえら降りたらもっと軽く引けんねんけどな。(笑)

「おりゃああああぁぁっ!!!」
イカン、90度どころか100度以上回ってしもた。

「おまえら、力入れ過ぎや!!!逆に引っ張って修正しろ!」 ・・・って力入れろ言うたんそっちやんけ!ほんま好きなことばっかし言いやがって!

しょうがないんです、何を言われたって。だってオレら所詮、
足軽やもん。

そんなこんなで巡行も終わりに差し掛かりました。すると沿道に酒樽が置いてあるんですよ。そのふたを叩き割って升に汲んで僕らに配ってくれるわけです。「お疲れ様!」 おおお、地獄に仏とはこの事か!有難くいただきます!!!

うまい!!!

むかつくこともあったけどこんな大行事に参加できて大観衆の前で力を存分に振るえるなんて滅多にあることじゃありませんよ?そして一杯の冷えた日本酒・・・
最高!!!
結局5時間ほどの拘束時間でバイト料が8000円くらいだったかな?案外いいんじゃない?でもお金なんかよりもこの一生の思い出になる仕事が出来たのが嬉しかったですね。・・・これを読んでいる京都の大学生の方!来年以降の祗園祭に参加してみるのはどうですか?おもしろいですよ!!!

※祗園祭に関わってる人が皆偉そうなんじゃないです!他意はありません、当時その一部の人にそう感じる言動があっただけです。祭りなんだから気が高ぶるのは当たり前。偉そうにしたわけじゃないかもね。

写真提供:日本の写真集 デジタル楽しみ村