野点(のだて)してみよう!

茶道とは、抹茶で立てた茶により来客をもてなす作法のことで、一定の順序に従って行なわれる。
しかしここに一人の男があった。
「ふじ」師。松永耳庵の耳庵流(じあんりゅう)を独自に継承せんと、日々茶の湯を沸かす彼の「オレら流茶会」というものにオレら流メンバー全員が参列。さて、いかがなるものか・・・

登場人物:中川Aふじ師のたまん師

ふじさんお手製の茶会記。読むとなかなか趣深いぞ!

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松永耳庵・・・近代三大茶人の一人

耳庵流、名物茶碗とヤカン

説明せねばなるまい!ふじさんが師と仰ぐ、松永耳庵・・・本名、松永安左エ門は1875年、長崎壱岐に生まれ、1971年、97才で亡くなりました。戦前戦後を通じ、電力界で活躍した実業家である。特に戦後、国家再建をかけ、民間電気事業をスタートさせ電気料金を60パーセントもアップさせた時には、政府はもちろん世論の反発、非難は相当なもので、「電力の鬼」と言われたということは有名である。

吉田茂に「素人はひっこんでろ」と言ったり、国会で反対派に対し「牛乳が飲みたければ、牛に餌をやらないといけません、ひとつよろしく」とふざけた答弁したりした個性の強さを感じさせるエピソードは数限りなくありますが、電気代値上げにしても、結果的には日本の高度成長に一役買うこととなり、戦後の経済に果たした功績は言葉を尽くしても尽くしきれないでしょう。

「六十にして耳従う」の論語の言葉から号をとった茶人としての耳庵は、文字どおり60才を過ぎてから茶の道に入りました。陶芸家北大路魯山人からさまざまなことを教わり、料亭「星岡茶寮」にも足繁く通いながら影響を受け続けた耳庵は、彼にすすめられた織部の鉢を皮切りに莫大な資金をかけて、茶道具をはじめたくさんの美術品を手に入れます。近代茶人として名を成した鈍翁(益田孝)、三渓(原富太郎)とともに、近代の数寄者として伝わっています。

国宝級の道具類を揃え、茶室を持ち、茶会を開く。点前は習ったものの「面倒だから」とすっかり忘れて自分流に点ててしまう。ときどきで点前の順序が変わるので「無勝手流かい?」と問われて「日々変わるから、毎日流さ」とうそぶく。

そんな「毎日流」・・・「耳庵流」に接することの出来たオレら流のメンバーはこの上ない幸せなのかもしれません。





オレら流茶会はこんな森林地帯で行われました。

キャンプ場で、茶の湯の作法に則り茶会を催す。亭主と客が相対し、張り詰めた空気が、あたりを支配する。
無駄がなく、隙のない点前。何の虚飾も無い必要最低限の道具立て。静かなキャンプ場にガスストーブの音と、コッヘルの中で湯のたぎる音ばかりが、松風のように流れている。

全国各地から集まったキャンパーたちが、今日、ここで初めて顔を逢わせた。まさに、一期一会の凝縮した時が流れる。

お点前席。 モンベル・アウトレットショップ
にて1000円だったフリース端布

まず、みんなで干菓子をいただく。

「後でボクもシャカシャカやりたい!」さすが!
母親が茶道経験者だと、言うことがちがう!

今回はスペインの焼き菓子「ポルボロ」が順番に客にまわる。口に含むと、淡くとけて行く食感は、まさに日本の干菓子の感覚。

今回のお道具

ソロツーリングで気軽にお茶を点てる時は、ステンレス製の「ユニフレーム、茶せん一服」が手間いらずで便利。
しかし今日は、それぞれにコダワリを持ったベテランキャンパー達が客として連なっている。 竹製の道具を持ち出し、心づくしのもてなしに気を配る。

野点席全景
亭主を、ベテランキャンパーたちが囲む。

いよいよお茶を点てる。緊張が高まる。
道具も清め終え、いよいよお茶を …

師匠の場所から、のたまん師
「お点前拝見!」

まずは耳庵流、「ふじ」師

茶筅を湯通しし、

茶杓で、お抹茶をチタン製シェラカップへ。

柄杓(ひしゃく)ならぬ、伸縮式アルミ製オタマ
で、コッヘルからシェラカップに湯を注ぐ。

今回の抹茶は、苦味が少なく、まろやかな味のお茶を選んだ。雑味が無く、深い香りと味が広がる。高級品だ。
コッヘルの底にご飯のおこげの跡が黒く残っている。よく見るとシェラカップにも染みが…。
キャンパーの野点にふさわしい、あるがままの道具揃えで臨む。

いよいよシャカシャカ。
とにかく高速でアワをたてるんだ!

大きなノモさんが小さくかしこまって
お茶をいただく。

ズラリ! 周囲を囲まれて…
亭主と客が同じ場を共有する。

「お服かげんは、いかがでしょうか?」
「けっこうなお点前でございます」

湯通しして茶碗を替える

お子様たちも一服いただく。
さすが3歳児は「オレ、飲み終わったもん」と、お散歩だあ!

今回の茶道具について、
熱心に質問するT野村氏。

T野村 「結婚するにはどうしたら良いでしょうか・・・」 ふじ師 「・・・無になるのです!!!」
亭主は、「キャンプでの野点にふさわしい道具揃え」についての心づかい、女性の扱いを語る。


おお、ここで茶道、本格経験者登場!!
石洲流「のたまん」師
「のたまん」師はやめてー!「のたまん(花嫁修業の経験のみ)」でお願いします。
だめ?

今週のヘェ〜 : 石州流茶道の祖として名高い片桐石州・・・名は貞昌。大和小泉藩主。秀吉の下で勇名を馳せた片桐且元の甥。小堀遠州の跡を継ぎ、将軍家茶道師範となった。利休から道安を経て宗仙に伝わった茶の湯を学び、武家流茶道を完成。石州流の「石州」とは、流祖の片桐石見守貞昌(石見の国=石州)に由来するものです。

茶杓を清める動作に、一分のスキもない!
「あ〜次はなんだったかな〜(汗)」

真の礼! 髪がキャンプ場の土につく!!
「こんにちは」 「勝負!」

ズズっと、いただく。心を込めて点てられた
一碗の茶に、思わず胸が熱くなる。

むうう… やはり、年月の波にもまれて生き抜いて来た本式の点前作法はすごい!無駄のない
迫力さえ感じる!(大汗)

ごめんなさい〜はちゃんめちゃでした〜(涙)

「結構なお点前でございました」
「茶碗に、富士山形の呑み跡が残って
いますね。きれいな頂き方ですね。」

「ははーっ!おほめのお言葉、
恥じ入るばかりでございます!
「もう一度出直して参ります!(反省)」

山梨県富士山北裾野湧出
「すごい水」使用





これにて茶会は終了。・・・オレらの心に残ったものは何だったろう・・・今回少々湿った空気の中での茶会でした。
アウトドア茶会と命名するこの茶会は、ありとあらゆる風流を愛でる、自然を愛するもの達にとって「人と人の出会い」、「心と心の交流」に必要不可欠なものではないであろうか。

現代風に言えば
「合コン」?(笑) いえいえそんな下世話なものではございません。人が人として生きてきて、人間らしくそしてまた自然と融合する・・・まさにオレら流キャンプ術の理念とすべきものなのかもしれません。


「後日談」

この日は、早朝、朝露が梢からテントに落ちる音で目覚めた。他のキャンパー達が、まだ寝静まっているキャンプサイトで、一人、湯を沸かす。固形燃料が燃焼する音と湯がたぎる音ばかりが、なんだか大きく聞こえる。

と、朝を告げる寺の鐘が、余韻を引きながら遠く響いてきた。
ひどく素直な気持ちで、こうしてキャンプ地に集合できた事に感謝せずにいられないひと時でした。

気持ちの良い野点でした。感動しました。
いろんなお茶会に行きましたが「間違えないように」そればっかりでしたので本当に楽しんで、心安らかな気持ちでお茶を飲みました。
子供たちにもいい経験になったと思います。




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